あまりに孤独でいすぎて叫びだしてしまいそうな夜がある
かといって、友だちや恋人を作ればその問題が解決するかといえば、そうでもない気がする
「紀里谷君は私を孤独から救ってくれようとしてたんだけど、私が救われようとしなかった」
離婚から8年ほど経つが、まだこの言葉を覚えている
「愛着障害」という本の中に「幼い頃に両親から十分な愛情を受け取れなかった子どもは人から愛してもらうことに異常に執着する『愛着不安型』になるか、逆に誰かと親密になることを拒否してしまう『愛着回避型』になる傾向にある」と書いてあった。
宇多田ヒカルの場合は明らかにこの愛着回避型であり、彼女の家庭の複雑さを見ればその幼少時代の過酷さは一目瞭然であり、それは決して彼女自身のパーソナリティーの問題などではないのである。
そしてこの愛着障害を克服する術というのは、親の代わりにだれか心から信用でき、何でも話せる対象を見つけることである。
それはこの障害を乗り切ることがほぼ不可能であると言っているようなものだ。「信用できると思っていた矢先に裏切られる」を繰り返してきた者たちは、誰かに自分を理解してもらうことさえもとっくの昔に諦めているからだ。